要点
継ぐ人がいないお墓は、生前に墓じまいをする・エンディングノートにお墓の情報を残す・死後事務委任契約で実行する人を決める、の3つの方法で整えておけます。死後に任せる場合は、遺言書で承継者と費用配分を、死後事務委任契約で実行者を決める二本立てがもっとも確実です。
「自分には子どもがいない。私が亡くなったら、実家のお墓は誰が面倒を見るのか」「配偶者も亡くなり、お墓を継ぐ人がいない」。こうしたご相談は年々増えています。継ぐ人がいないお墓は、放置すれば管理料の未納から使用権の取り消しに進み、ご先祖のご遺骨は合祀墓に移されます。そうなる前に、ご自身の手で整えておく方法が3つあります。
1. 生きているうちに墓じまいをする
墓地の使用者(名義人)がご本人であれば、ご自身の意思で墓じまいができます。法律上、他の親族の同意は必要ありません。ただし、お墓は親族にとっても心のよりどころなので、いとこや親戚に一声かけてから進めるほうが、あとで感情的な行き違いが起きにくいのは確かです。
進め方は通常の墓じまいと同じです。ご遺骨の行き先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬・海洋散骨など)を決め、今のお墓がある市区町村で改葬許可を受け、石材店に解体を依頼します。ご自身が将来入る場所も、このときに同じ永代供養墓などに決めておけば、「自分の納骨先」も同時に片づきます。
生前に済ませておく最大の利点は、費用と判断をご自身で決められることです。残された人が慣れない手続きに追われることも、費用の負担で親族がもめることもなくなります。
2. エンディングノートに「お墓の情報」を残す
すぐに墓じまいをしない場合でも、お墓に関する情報を一冊にまとめておくだけで、あとに残る人の負担は大きく変わります。エンディングノートに法律上の効力はありませんが、次の項目を書いておいてください。
- お墓の所在地、区画番号、墓地管理者(寺院・霊園)の名前と連絡先
- 使用者の名義、使用許可証や契約書の保管場所
- 年間管理料の金額と支払い方法、口座
- 埋葬されている方の氏名と埋葬時期(改葬許可申請で必要になります)
- お墓をどうしてほしいか(墓じまいして永代供養に、など)と、希望する供養先
- 連絡してほしい親族や友人の一覧
お墓の希望を法律上の効力のある形で残したい場合は、遺言書が必要です。祭祀承継者を遺言で指定することはできますが、墓じまいをしてほしいという希望そのものは「付言事項」として書き添える形になります。詳しくは「墓じまいと遺言書」のコラムをご覧ください。
3. 死後事務委任契約で「実行してくれる人」を決める
遺言書やエンディングノートに希望を書いても、それを実行する人がいなければ進みません。家族がいない、あるいは頼めない場合に使えるのが「死後事務委任契約」です。
死後事務委任契約は、亡くなった後の手続きを、生きているうちに第三者に委任しておく契約です。委任できる内容は、葬儀や火葬の手配、納骨、墓じまいと改葬、役所への届け出、家財の処分、公共料金の解約などです。受任者には行政書士や司法書士、弁護士、社会福祉協議会やNPOなどがなります。契約は公正証書で作ることが多く、費用は受任者への報酬と、実際の手続き費用(葬儀代や墓じまいの工事費など)を事前に預ける形が一般的です。
墓じまいと組み合わせるなら、「私が亡くなったら、実家のお墓を墓じまいし、ご遺骨と私の遺骨を○○の永代供養墓に納めてほしい。費用はこの預託金から支払ってほしい」という契約になります。遺言書で承継者と費用配分を決め、死後事務委任契約で実行者を決める、という二本立てがもっとも確実です。
判断力が落ちる前に
死後事務委任契約は「亡くなった後」の契約です。認知症などで判断力が落ちた「生きている間」の財産管理や契約は、別の制度(任意後見契約や見守り契約)で備えます。おひとりさまの終活では、この2つをセットで考えることが多いです。どこまで備えるかは、ご自身の状況と費用の兼ね合いで決めることになります。
何から始めるか
- まずお墓の情報を一枚にまとめる(今日からできます)
- ご自身が将来入る場所を含めて、ご遺骨の行き先を決める
- 生前に墓じまいをするか、死後に任せるかを決める
- 死後に任せるなら、遺言書と死後事務委任契約を専門家と作る
墓じまい案内では、地域の石材店が現地に行ってお出しする正確なお見積もりと、遺言書や死後事務委任契約に対応できる専門家(行政書士など)のご紹介を、いずれも無料で行っています。LINEや相談フォームの「相続・遺言書・エンディングノート」の質問で「エンディングノートを書きたい」または「遺言書を作りたい」を選んでください。個別の法律判断はいたしませんが、何をどの順番で進めればよいかの整理からお手伝いします。