要点
エンディングノートには、お墓の所在地、管理者の連絡先、使用者の名義、管理料、埋葬されている方の氏名と埋葬時期、お墓をどうしてほしいかなどを書いておきます。法的効力はないため、お墓を継ぐ人(祭祀承継者)の指定を確実にしたい場合は遺言書に書きます。
エンディングノートは、自分の希望や身の回りの情報を家族に伝えるために書き残すノートです。遺言書と違って法的効力はありませんが、残された家族が「お墓のことで何も分からない」という状態を防ぐ役目があります。
とくにお墓の情報は、本人しか知らないことが多いものです。墓地の場所、管理者の連絡先、誰が埋葬されているか。これらが分からないと、お墓を守るにも墓じまいをするにも、家族は手続きを進められません。
この記事では、エンディングノートにお墓について書いておきたい8つの項目と、墓じまいの希望の書き方、遺言書との違いと使い分けをまとめます。
お墓について書いておく8つの項目
まずは、次の8項目を埋めることを目標にしてください。分からない項目は空欄のままで構いません。
| 項目 | 書く内容 | 調べ方・保管場所の例 |
|---|---|---|
| 1. お墓の所在地と区画番号 | 墓地の名前、住所、区画(○区○番など) | 使用許可証や管理者からの通知。墓地の区画の標識 |
| 2. 墓地の管理者の名前と連絡先 | お寺か霊園か、名称、電話番号、担当者 | 管理料の請求書、法要の案内はがき |
| 3. 使用者の名義と使用許可証の保管場所 | 誰の名義で墓地を使っているか、許可証をどこにしまっているか | 仏壇の引き出し、重要書類の箱。名義が亡くなった親のままなら、その旨も |
| 4. 年間管理料の金額・支払い方法・口座 | 年額、支払い時期、振込か引き落としか、引き落とし口座 | 通帳の記帳、管理者からの請求書 |
| 5. 埋葬されている方の氏名と埋葬時期 | お墓に入っている方の名前、亡くなった年、納骨した年(改葬許可申請で必要) | 過去帳、墓誌(お墓の横の石板)、管理者の埋葬記録 |
| 6. 宗旨宗派と菩提寺との付き合い | 宗派、菩提寺(先祖代々お世話になっているお寺)の名前、法要の頻度、お布施の目安 | 位牌、法要の案内、これまでの領収書 |
| 7. お墓をどうしてほしいか | 守ってほしい/墓じまいして永代供養にしてほしい など | 家族と話した内容があれば、その日付も |
| 8. 知らせてほしい親族・友人 | 相談してほしい人、知らせてほしい人の名前と連絡先 | 年賀状、住所録 |
このうち5番の「埋葬されている方の氏名と埋葬時期」は、とくに大切です。墓じまいに必要な改葬許可申請(お墓からご遺骨を移すための行政手続き)には、埋葬されている方の氏名や埋葬時期を書く欄があります。これが分からず、手続きが止まってしまうことがあります。
記憶があいまいでも、墓地の管理者に聞けば記録が残っていることがほとんどです。元気なうちに確認して、ノートに書き写しておいてください。手続きの流れは改葬許可申請で説明しています。
7番の永代供養は、お寺や霊園が代わりに供養を続けてくれる仕組みです。供養先には納骨堂、樹木葬、合祀墓(他の方のご遺骨と一緒に納める墓)などがあり、希望があれば種類も書き添えてください。
墓じまいの希望をどう書くか
「墓じまいをしてほしい」とだけ書いても、家族は動けません。誰が、どこへ、費用はどこから、まで書いておくと、残された人が迷わずに済みます。要点は3つです。
- 誰にお願いするかを書く:実際に手を動かす人を一人決めておきます。「みんなで相談して決めて」と書くと、意見が割れて止まりがちです。
- ご遺骨の行き先を書く:永代供養墓、納骨堂、樹木葬、海洋散骨など、種類だけでも書いておきます。「自宅から近いところ」のように条件で書いても構いません。
- 費用の出どころを書く:墓じまいには解体工事、お寺へのお布施、新しい供養先の費用がかかります。どの口座や貯えから払ってほしいかを書いておきます。目安は墓じまいの費用で確認できます。
一般的な書き方の例を挙げます。
例:私が亡くなったあと、長男にお願いして、実家のお墓は墓じまいをしてください。ご遺骨は、私の分と一緒に、自宅から近い永代供養墓に納めてもらえると安心です。費用は、私名義の預金から出してください。お寺には、生前に住職へ相談済みです。
ただし、エンディングノートに書いた希望に法的拘束力はありません。だからこそ、書くだけでなく、生前に家族と話しておくことが大切です。
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートと遺言書は、役割が違います。それぞれに向いていることがあります。
| 比較項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり(法律の要件を満たしたもの) |
| 書けること | 何でも自由。希望、気持ち、情報、手順 | 財産の分け方、お墓を継ぐ人(祭祀承継者)の指定など、法律で定めた事項 |
| お墓を継ぐ人(祭祀承継者)の指定 | 書けるが、遺言書ほど確実ではない。確実にしたい場合は遺言書で | 指定できる(民法897条) |
| 形式の決まり | なし | あり。自筆証書遺言は本文を自筆し、日付・署名・押印が必要 |
| 費用 | ノート代程度、または無料 | 自筆証書遺言はほぼ無料。公正証書遺言は公証人の手数料など |
| 向いていること | お墓の情報の整理、家族へのメッセージ、供養の希望、手続きの手順 | お墓を継ぐ人を決める、財産の分け方を決める |
補足すると、自筆証書遺言は本文を自分で書きますが、添付する財産目録は自筆でなくても構いません(各ページに署名・押印は必要です)。法務局の保管制度を使う場合は手数料がかかります。公正証書遺言は公証役場で公証人が作成し、その手数料がかかります。
使い分けの目安は、次のとおりです。
- お墓を継ぐ人の指定と、財産のことは遺言書に書く。お墓や仏壇などの祭祀財産(先祖を祀るための財産)を誰が引き継ぐかは、遺言書で指定できます。
- 気持ち、情報、手順はエンディングノートに書く。お墓の所在地や管理者、供養先の希望、費用の出どころなどが、これにあたります。
なお、墓じまいの希望は遺言書に書いても「付言事項」という扱いになり、法的拘束力はありません。遺言書でできること、できないことは墓じまいと遺言書で詳しく説明しています。誰がお墓のことを決められるのかは祭祀財産と決められる人をご覧ください。
書式の手に入れ方
書式に決まりはありません。手に入れ方は主に3つです。
- 市販のノート:文具店や書店で買えます。項目が印刷されているので、順番に埋めていけます。
- 自治体や公的機関が配るもの:無料で配布している地域があります。お住まいの自治体の窓口で聞いてみてください。
- 自分で紙に書く:普通のノートや便せんに、この記事の8項目を見出しにして書いても構いません。
項目が揃っていれば、形式は自由です。
書いたあとにすること
書いて終わりではありません。次の3つをしておくと、ノートが生きます。
- 保管場所を家族に伝える:どこにしまったかを、実行してほしい人に口頭で伝えておきます。
- 年に一度見直す:管理料の金額、連絡先、自分の希望は変わります。お盆やお正月など、決まった時期に見直す習慣をつけると続きます。
- 実行してくれる人がいない場合は、死後事務委任契約を考える:子どもがいない、親族と疎遠、という方は、亡くなったあとの手続きを行う人を生前に契約で決めておく方法があります。詳しくはおひとりさまの準備にまとめています。
お墓のことは、生前に整理しておくのが一番の準備
エンディングノートに希望を書くのは大切な準備です。ただ、実行するのは残された家族です。家族の負担を減らす一番の方法は、元気なうちに自分でお墓を整理しておくこと。生前の墓じまいという選択肢です。石材店に見積もりを取り、お寺と話し、ご遺骨の行き先を決め、改葬許可申請まで済ませておけば、家族に残すのは「ここに納めてほしい」の一言だけになります。手順は墓じまいから永代供養まで一度に決めるで説明しています。
当サイト「墓じまい案内」では、お墓の解体を行う地域の石材店の見積もり、ご遺骨の行き先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬など)の候補、改葬許可申請の進め方、遺言書や生前の準備に対応できる専門家(行政書士など)のご紹介まで、一つの窓口で無料で取り次ぎます。
- LINEで簡単見積もり:お墓の詳しい場所をお教えいただければ、地域の石材店が現地に行き、正確なお見積もりをお出しします。
- 相談フォーム:エンディングノートの書き方や、供養先の候補についてもご相談いただけます。
- 電話(通話無料 0120-597-839):お話ししながら整理したい方はこちらへ。
相続や遺言書のことも含めて全体を見たい方は、相続・遺言書・生前の準備のまとめページをご覧ください。
まとめ
- エンディングノートに法的効力はありませんが、お墓の情報を家族に残す役目があります。まず8項目を埋めることから始めてください。
- お墓を継ぐ人の指定と財産のことは遺言書、気持ち・情報・手順はエンディングノート、と使い分けます。
- 一番の準備は、元気なうちに自分でお墓を整理しておくことです。当サイトが無料で取り次ぎます。