要点
墓じまいと永代供養は、先に永代供養先を決めて受入証明書を受け取り、埋蔵証明、改葬許可の順に進め、許可が出てから閉眼供養・解体・納骨を行います。費用は解体費に永代供養費を柱数分足して考え、総額は30万から150万円程度が目安です。
墓じまいのご相談は、「お墓を片づけたい」という気持ちから始まります。ところが実際に進めようとすると、多くの方が「取り出したご遺骨をどこへ納めるか」で止まってしまいます。解体の見積もりは取れたのに、行き先が決まらず数か月そのまま、ということも珍しくありません。
墓じまいの後の行き先として、多くの方が選ぶ選択肢の一つが永代供養(えいたいくよう)です。永代供養とは、霊園や寺院が家族に代わってご遺骨を管理し、供養を続けてくれる仕組みのことです。後継ぎがいなくても続けられるため、遠方にお墓を抱える方に向いています。
この記事では、お墓の解体と永代供養先の選定を別々に考えず、一度に決める進め方をご説明します。費用の合計の考え方と、手続きの順番を中心にまとめました。
なぜ「墓じまい」と「永代供養先」は同時に決めるのか
理由は、手続きの順番にあります。お墓からご遺骨を移すことを法律では「改葬(かいそう)」と呼び、現在のお墓がある市区町村長の改葬許可が必要です。この申請には、今の墓地管理者が出す「埋蔵証明」が要ります。埋蔵証明は、そのお墓にご遺骨が納められていることの証明です。多くの自治体では、改葬先の「受入証明書」もあわせて求められます。
受入証明書は、行き先が決まって初めて発行されます。つまり、行き先を決めないと許可申請が進みません。許可がなければ、墓地管理者はご遺骨の取り出しと引き渡しに応じないのが通例です。行き先が先、というのが実務の順番です。
解体と行き先を別々に進めると、次のような行き違いが起きやすくなります。
- 解体の日程を先に決めたのに、受入証明書が間に合わず延期になる
- 石材店と霊園と役所に、それぞれ同じ説明を繰り返す二度手間になる
- 解体費だけを見て予算を組み、永代供養費を足すと想定を超える
墓じまいと永代供養を一つの計画として考えれば、日程も費用も一度で見通せます。
永代供養の主なかたちと費用の目安
永代供養には、ご遺骨の納め方によって大きく3つのかたちがあります。費用はいずれも目安で、霊園・地域・柱数(ご遺骨の数)により異なります。
合祀型(ごうしがた)
他の方のご遺骨と一緒に一つの墓所へ納める方式です。費用は1柱あたり5万〜30万円が目安で、最も抑えられます。一度納めると、後から取り出すことはできません。
集合・個別安置型
一定の期間、骨壺のまま個別に安置し、期間が過ぎると合祀へ移る方式です。費用は20万〜60万円が目安です。安置期間中は年間管理費がかかる場合と、最初の費用に含まれる場合があります。
樹木葬・納骨堂(永代供養付き)
樹木や草花を墓標とする樹木葬は20万〜80万円、屋内に安置する納骨堂は20万〜100万円が目安です。どちらも永代供養が付いているものが多く、個別の期間を終えると合祀される仕組みは個別安置型と同じです。
樹木葬と納骨堂は納め方が異なるため、次の表では分けて4つで示します。
| かたち | 費用の目安 | 取り出し | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 合祀型 | 5万〜30万円(1柱) | できない | 費用を抑えたい、管理を残したくない |
| 集合・個別安置型 | 20万〜60万円 | 期間内は可能な場合がある | 当面は個別にお参りしたい |
| 樹木葬(永代供養付き) | 20万〜80万円 | 期間内は可能な場合がある | 自然に近い形を望む |
| 納骨堂(永代供養付き) | 20万〜100万円 | 期間内は可能な場合がある | 都市部で通いやすさを重視したい |
それぞれの特徴はご遺骨の5つの行き先と霊園・墓地の種類でも詳しくご説明しています。
墓じまいと永代供養を合わせた費用の合計
費用の合計は、次の式で考えると見通しが立ちます。
解体・撤去費 + 閉眼供養のお布施(+離檀料) + 手続きの費用 + 永代供養費 × 柱数
各項目の目安は次のとおりです。
- 墓石の解体・撤去:1平方メートルあたり8万〜15万円が目安。1〜2平方メートル程度の一般的な区画では、おおむね10万〜30万円になることが多い
- 閉眼供養(へいがんくよう。お墓から魂を抜く法要)のお布施:3万〜10万円
- 離檀料(りだんりょう。寺院墓地を離れる際のお礼):0〜20万円。寺院墓地のみで、公営霊園にはありません
- 改葬許可の手数料:無料〜数百円。行政書士に代行を頼む場合は別途数万円
- 永代供養費:上の表のとおり、柱数分
これを当てはめた合計の目安を、3つのケースで示します。いずれも1〜2平方メートル程度の区画を想定した目安で、業者・地域・お墓の条件により異なります。内訳は次のとおりです。
- 2柱・合祀型(霊園):解体10万〜30万円+お布施3万〜10万円+手数料ほぼ0円+合祀型5万〜30万円×2柱
- 2柱・個別安置型:解体10万〜30万円+お布施3万〜10万円+手数料ほぼ0円+個別安置型20万〜60万円×2柱
- 2柱・合祀型(寺院墓地・離檀料あり):上の合祀型の内訳+離檀料0〜20万円
| ケース | 合計の目安 |
|---|---|
| 2柱・合祀型(霊園) | 約23万〜100万円 |
| 2柱・個別安置型 | 約53万〜160万円 |
| 2柱・合祀型(寺院墓地・離檀料あり) | 約23万〜120万円 |
永代供養費を含めた墓じまいの総額は、30万〜150万円程度が目安です。上の表のとおり、合祀型で抑えれば20万円台に収まることもあり、個別安置型で柱数が多いと150万円を超えることもあります。柱数が多い場合は、合祀型と個別安置型を組み合わせる方法も検討できます。内訳の詳しい説明は費用相場と内訳、誰が払うかの考え方は費用は誰が払うをご覧ください。
墓じまいと永代供養を一度に決める手続きの順番(7つの手順)
墓じまいと永代供養を一つの計画として進める場合の順番です。
- 家族・親族と話す:お墓を継ぐ人(祭祀承継者)を中心に、墓じまいをすること、行き先を永代供養にすることを共有します。ここを飛ばすと後のトラブルの元になります。
- 永代供養先を見学して決め、受入証明書を受け取る:候補を2〜3か所見て、宗旨宗派の条件や合祀までの期間を確かめます。受入証明書は、契約や申込みが済んだ段階で発行されるのが一般的です。仮押さえの段階で出るかどうかは霊園により異なるため、見学時に発行の時期を確かめておきます。
- 今の墓地管理者へ相談し、埋蔵証明を受け取る:寺院墓地なら住職へ、公営・民営霊園なら管理事務所へ、墓じまいの意向を伝えます。埋蔵証明はこの管理者が発行します。寺院の場合は離檀料の考え方も確認しておきます。
- 改葬許可を申請する:今のお墓がある市区町村へ、申請書・埋蔵証明・受入証明書を提出します。手数料は無料〜数百円の自治体が多く、ご遺骨1柱ごとに1通が原則です。許可が下りると改葬許可証が交付され、これがご遺骨を移すときと納骨のときに必要です。詳しくは改葬許可申請をご覧ください。
- 閉眼供養を行う:墓石を動かす前に、僧侶に読経していただく法要です。日程は石材店の解体日と合わせて決めます。閉眼供養で流れをご説明しています。
- ご遺骨を取り出し、墓石を撤去する:石材店がご遺骨を取り出し、墓石を解体して区画を更地に戻します。取り出したご遺骨は、必要に応じて洗浄・乾燥します。
- 永代供養先へ納骨する:改葬許可証を永代供養先に提出し、納骨します。これで手続きは完了です。
全体の流れは墓じまいの流れ 7ステップでも整理しています。
永代供養先を選ぶときに確認する7つの点
見学や問い合わせのときに、次の7点を確かめておくと、契約後の行き違いを防げます。
- 宗旨宗派の条件:宗派を問わないところが多いものの、寺院が運営する場合は檀家になることを求められる場合があります。
- 個別安置の期間とその後:個別に安置される年数と、期間後に合祀される場所を確認します。
- 年間管理費や護持会費(ごじかいひ。寺院を維持するための会費)の有無:最初の費用に含まれるのか、毎年支払うのかで総額が変わります。
- 複数柱の料金の数え方:1柱ごとか、区画ごとか。2柱目以降が割安になる場合もあります。
- 分骨や後からの追加納骨の可否:将来、家族のご遺骨を同じ場所に納められるかどうかです。
- お参りの方法と交通の便:お花や線香を供えられるか、駅からの距離、駐車場の有無を見ておきます。
- 受入証明書の発行と契約時期:改葬許可申請に必要なため、いつの時点で発行されるかを確かめます。
公営霊園の合葬墓という選択肢
市営や県営の霊園が設ける合葬式の墓地は、費用が抑えられることが多く、離檀料もありません。宗旨宗派を問わず、管理も自治体が行います。
一方で、募集の時期が年に一度などと限られ、応募が多いと抽選になります。その自治体に一定期間住んでいることや、すでに区域内のお墓を持っていることなどの要件が付く場合もあります。すぐに納骨できるとは限らないため、解体の日程を先に決めてしまわないことが大切です。募集要項はお住まいの自治体、または今のお墓がある自治体の窓口でご確認ください。
よくある行き違いと防ぎ方
先に解体してしまい、納骨先が決まらない
解体を急ぐと、ご遺骨をご自宅で長く預かることになります。改葬許可の手続きも進みません。受入証明書を受け取ってから解体日を決める順番にすると、こうした行き違いを避けやすくなります。
合祀した後に取り出したくなった
合祀型は一度納めると取り出せません。「いずれ別のお墓に移すかもしれない」という気持ちが少しでもあれば、個別安置型や手元供養(ご遺骨の一部を自宅で保管する方法)との組み合わせを考えます。
親族に相談せずに決めてしまった
お墓は相続財産ではなく、祭祀財産(さいしざいさん。お墓や仏壇など、祭祀を継ぐ人が受け継ぐ財産)にあたります。承継者が管理を決める立場ですが、費用の分担や気持ちの面では親族の理解が欠かせません。決める前に一度、話す場を持つことが最も効く対策です。詳しくはトラブルと対策と祭祀財産と決められる人をご覧ください。
解体の見積もりと永代供養先の案内を、一度に受け取る
当サイト「墓じまい案内」では、お墓の解体と永代供養先の案内を一つの窓口でお受けしています。LINEでお墓の詳しい場所をお教えいただければ、地域の石材店が現地に行ってお出しする正確なお見積もりと、ご希望に合う永代供養先のご案内を、一つの窓口でお届けします。改葬許可申請や、相続・遺言書の専門家のご紹介もあわせてご案内します。すべて無料で、相談者の方に費用はかかりません。
- LINEで簡単見積もり:お墓の詳しい場所をお教えください。石材店が現地に行き、正確なお見積もりをお出しします。最も早く進みます
- 相談フォーム:ご希望や状況を文章で伝えたい方に
- お電話:通話無料 0120-597-839
各都道府県の永代供養先の一覧は、都道府県を選ぶからご覧ください。
まとめ
墓じまいは、永代供養先を先に決めると手続きが止まりません。受入証明書、埋蔵証明、改葬許可の順に進め、解体と納骨の日程を合わせるのが基本です。費用は解体費に永代供養費を柱数分足して見通し、目安は30万〜150万円程度で、合祀型なら20万円台に収まることもあります。行き先と解体を一度に決めることで、二度手間と見込み違いを防げます。