要点
墓じまいには期限がないため、相続放棄や相続税の申告など期限のある相続手続きを先に片づけ、墓じまいはその流れの中で進めるのが基本です。改葬許可申請の書類は行政書士、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士に頼めますが、親族間や寺院との争いは弁護士の領域です。
親が亡くなり、葬儀が終わって少し落ち着いたころ、相続の手続きとお墓の問題が同時にやってきます。どちらも初めての方が多く、「何から手をつければよいのか」「誰に頼めばよいのか」が分からないまま、期限だけが迫ってくる。この記事では、墓じまいと相続手続きを並行して進めるときの現実的な順番と、専門家の分担を整理します。
期限があるものを先に
相続の手続きには法律上の期限があるものがあります。墓じまいには期限はありません。したがって、期限のある相続手続きを先に片づけ、墓じまいはその流れの中で無理なく進めるのが基本です。
主な期限は次のとおりです。
- 相続放棄・限定承認:相続があったことを知ってから3か月以内
- 所得税の申告(故人の分。準確定申告):4か月以内
- 相続税の申告と納付:10か月以内(相続税がかかる場合)
- 不動産の相続登記:相続で不動産を取得したことを知ってから3年以内(2024年4月から義務化)
墓じまい自体に期限はありませんが、お墓の名義人が亡くなったままだと管理料の請求や連絡が滞るため、墓地管理者への承継の届け出は早めに済ませておくとよいでしょう。
現実的な順番
- 相続人と祭祀承継者を確定する。戸籍を集めて相続人を確定し、あわせて「お墓を誰が継ぐか」を決めます。遺言書があれば、その内容を確認します
- 相続放棄をするかを判断する(3か月)。放棄を考えている場合は、故人の財産に手をつけないよう注意が必要です
- 墓地管理者へ名義変更(承継)の届け出をする。改葬許可申請の申請者になるために必要です
- 遺産分割の話し合いの中で、墓じまい費用の分担も決める。遺産から出すなら協議書に明記します
- ご遺骨の行き先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬・海洋散骨など)を決め、受入証明書をもらう
- 今のお墓がある市区町村で改葬許可申請をする
- 石材店に解体・撤去を依頼し、閉眼供養を行い、ご遺骨を新しい供養先へ移す
3と4は相続手続きと重なる部分、5から7は墓じまい固有の部分です。相続税の申告がある方は、10か月の期限を意識しつつ、5から7を並行して進めると全体が滞りません。
専門家の分担
相続と墓じまいには複数の専門家が関わります。それぞれにできること、できないことが法律で決まっています。
| 専門家 | 頼めること | 頼めないこと |
|---|---|---|
| 行政書士 | 改葬許可申請の書類作成と提出の代理、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、墓地の名義変更に必要な書類の整理 | 不動産の登記、裁判所への提出書類、相手方との交渉 |
| 司法書士 | 不動産の相続登記、相続放棄の申述書など裁判所に提出する書類の作成 | 相続税の申告、紛争の代理交渉 |
| 税理士 | 相続税の申告、財産の評価、準確定申告 | 登記、法律上の争いの代理 |
| 弁護士 | 相続人同士の争い、離檀料をめぐる寺院との交渉、調停や訴訟の代理。法律事務全般 | 特になし。ただし費用は他の専門家より高くなる傾向 |
争いがなく、書類の手続きが中心なら、行政書士と司法書士(必要なら税理士)で足ります。親族間で承継者や費用負担が決まらない、寺院から高額な離檀料を求められて話がつかない、といった「争い」がある場合は弁護士の領域です。行政書士や石材店が代わりに交渉することは法律で認められていません。
石材店と専門家、どちらに先に相談するか
順番としては、まず石材店に現地を見てもらい、見積もりを取ることをおすすめします。費用の目安が分からないと、親族での分担の話も、供養先の予算も決められないからです。そのうえで、書類の手続きを任せたい範囲を決めて専門家に依頼すると、無駄な費用がかかりません。
墓じまい案内では、お墓の詳しい場所をお教えいただければ、地域の石材店が現地に行き、正確なお見積もりをお出しします。あわせて、改葬許可申請や相続の手続きに対応できる専門家(行政書士など)も無料でご紹介しています。相談フォームやLINEの「改葬許可申請」「相続・遺言書・エンディングノート」の質問で、ご希望をお知らせください。個別の法律判断はいたしませんが、誰に何をどの順番で頼めばよいかの整理からお手伝いします。